住宅購入のキャンセル
【 愛知県HPより転載 】
住宅購入トラブル対策
≪相談事例≫
住宅購入予定で、投げ込みチラシ広告を見て気に入った物件があったので、現地へ下見に行った。駅に近く、環境の良い場所だったので、その日の内に、業者に連絡を取り、10万円の申込金を払った。3,800万円の建築条件付き宅地だったので、簡単な家の設計など打ち合わせをした。翌日、見積書を持ってきてもらったが、「今日中に返事をすれば200万円値下げする。明日以降は、他の人に渡っても文句は言えない」と言われた。契約を急がせる業者に不信感を持った。断ると申込金はどうなるのか。
(30代 女性 家事従事者)
≪処理結果概要≫
高額な買い物なのでじっくり考える時間が必要なことは当然です。申込金と手付金の違いを説明しました。申込金であれば、申込みをしたことを保証するもので、契約の成立ではありません。相談者、業者双方どちらからでも取り消すことができ、申込金は返還される旨、伝え、交渉されるよう助言しました。
【ポイント】
[1] 土地や住宅を購入する時には、不動産売買契約を締結する必要があります。内容をよく確認し、じっくりと考え、十分に納得した上で契約を取り交わしましょう。契約前に、必ず重要事項説明書をもらい、説明を受け、よく理解したうえで取引するかどうか検討して下さい。
[2] 建築条件付き宅地とは、基本的には土地の売買ですが、土地の売主または土地の販売代理人である宅建業を併営する建設会社に建物の建築を発注するという条件がつけられているものです。
[3] 建築条件付き宅地の売買には、停止条件(一定期間内に建物の請負契約が成立しなかった場合、土地売買契約は白紙になる)を表示することとされています。
建築条件付売地の広告には必ず次のように表示されています。
「この土地は、土地売買契約後3ヶ月以内に当社(土地の売主)と建物請負契約を締結することを停止条件として販売します。この期間内に建築請負契約が締結されない場合は、土地売買契約はなかったことになり、預かり金その他名目を問わず、受領済みの金銭は無条件で速やかに全額お返しします。」
[4] 最近、建築条件付き宅地分譲の同時契約のトラブルが問題になっています。土地売買と建物建築請負の二つの契約を同時にすると、一定期間内に建物建築請負契約を結んだことになり、消費者に手付金等が戻らない事態になっています。
[5] 建売住宅は、建物が完成、未完成(建築工事に未着工のものも含まれる)どちらでも土地付き住宅の売買であり、建物について建築基準法の建築確認を受けているものをいいます。
[6] この事例の相談者が見たチラシは、一見、新築建売住宅の広告のようでした。相談者も建売住宅を買うつもりで申し込んでいました。建築条件付き宅地の建物は建築確認を受けていませんので、建売住宅ではありません。家は大きな買い物です。よくわからないことは、納得するまで説明を求め、誠実な説明を受けられなかったり、取り引きを急がせるような、信用の置けない業者とは契約しない方が賢明です。
≪用語解説≫
停止条件付売買契約;
その条件(建築請負契約の締結)が成就するまでは条件にかかる売買契約の効力の発生が停止されているもので、条件が成就してはじめて契約の効力が発生するもの。
手付金;
売買契約成立の時に交付される金銭。証約手付・違約手付・解約手付があります。民法上では、当事者間で何の定めもせずして交付された手付金は解約手付と解されています。宅建業法でも、どの内容の手付金として交付しても常に解約手付の性質を有すると考えています。
解約手付;
買主は手付金のみの損失を覚悟すれば,売主の債務不履行がなくても解除でき、売主は手付金の倍額を買主に返しさえすれば,契約を解除できる趣旨で交付される手付のことです。
内 金;
手付とは異なり、代金の一部弁済としての性質があります。
≪参照法令等≫
民法 557条(手付) 558条(売買の費用) 559条(有償契約の準用)
宅地建物取引業法 33条(広告の開始時期の制限)
【 原文 】