増加する住宅リフォーム工事のトラブル②
【 国民生活センターHPより 】
今回は引き続きリフォーム工事トラブルについて考えていきます
前回の「増加する住宅リフォーム工事のトラブル①」はこちら
訪問販売の事例(抜粋)
●屋根の塗装工事を契約したが、契約金額を修正液で書き直された
近所の公共施設で施工経験しているという業者が夕方に訪問してきた。
承諾していないのに屋根にはしごをかけ屋根を確認し、
「瓦に問題があるので、すぐ工事しないといけない」と
契約を迫られ、契約書に署名してしまった。業者からなかなか契約書の控えが届かず、
届いたものを確認したら修正液で金額が直されていた。
(相談受付年月:2012 年12 月、契約当事者:年代不明、女性、徳島県)
●訪問販売業者の言うままに契約し、代金を支払ったが業者と連絡がつかない
両親のもとに突然業者が来訪し、「屋根がずれている」、
「雨が降ると大変だからすぐに直す必要がある」と屋根の補修工事を勧誘した。
父は、業者に言われるままに屋根工事の契約を結び、工事代金を支払ったが、
契約書はなく、領収書しかない。領収書に記載の連絡先に電話をしたが、つながらない。
(相談受付年月:2013 年1 月、契約当事者:90 歳代、男性、兵庫県)
●訪問販売で屋根の塗装工事を依頼したが、業者が工事に来ない
近隣宅の塗装工事をしていた業者が来訪し、屋根の塗装工事を勧誘された。
最初は金額に納得がいかず断ったが、金額が値下げされたので契約した。
見積書や契約書は渡されていない。契約後すぐに屋根の洗浄が行われ、
塗料の代金の支払いを求められた。近隣宅の施工の際にも、
先に塗料代は受け取ったとのことだったので支払った。
塗料代の支払いから相当経過したが、業者が来ず工事が始まらない。どうしたらよいか。
(相談受付年月:2013 年1 月、契約当事者:80 歳代、女性、愛媛県)
店舗購入の事例(抜粋)
●外壁リフォーム工事を契約したが、業者が一方的にキャンセルした
自宅の外壁のリフォーム工事をしようと考えていたところ、チラシで契約先業者のことを知り、
当初は高額な見積り金額で、予算から見て不可能である旨伝えた。
こちらから予算額を具体的に示すと、業者が応じたため契約したが、
その後、契約先業者から契約金額では工事ができないと一方的にキャンセルされた。
契約書には、業者都合のキャンセルについて記載がない。
(相談受付年月:2013 年1 月、契約当事者:50 歳代、男性、北海道)
●当日中に契約しないと、50 万円高くなるといわれた
分譲マンションに居住しているが、
浴室をユニットバスにしようとリフォーム工事を依頼することにした。
風呂のリフォーム工事のチラシを見て、50 万円程度と記載があったので、
自分で店に出向き、見積りに来てもらった。
見積りはチラシより高い150 万円を提示されたが、
業者から当日中に契約しないとさらに50 万円高くなって、
200 万円になるといわれたため契約した。
ところが分譲マンションの管理組合の許可が下りず、結局工事ができない。
(相談受付年月:2013 年1 月、契約当事者:60 歳代、女性、大阪府)
●浴室と洗面所のリフォームをしたが、施工がずさんで請求額が見積りと違う
ショールームに出かけ、キャンペーンのユニットバスがあったので、
浴室と洗面所などのリフォームをすることにした。身内の知り合いの業者に依頼し、
見積もってもらった上でユニットバスや洗面化粧台などを決め契約した。
施工後、予定していた洗面化粧台は大きすぎて入らず別の製品を入れ、
扉の取り付けも隙間ができて、向こう側の壁が見える、などの状態であった。
さらにユニットバスの付属品である鏡の代金が別途請求され、請求額が増えていた。
工事が設計書どおりに施工されておらず、業者を自宅に呼んだが来ようとしない。
(相談受付年月:2012 年11 月、契約当事者:60 歳代、女性、香川県)
事例に見る共通の問題点
●見積書や契約書の不交付、あるいは不適切な書面が交付されている
例えば
「請負代金の欄が空白」
「施工日程の記載がない」
「契約書の表記が詳細な内容がなく「工事一式」」
「工事着工日は吉日」など、
いつ、どのような工事がなされるのかが明らかにされていない、
契約内容を特定する書面になっていない、また書面不交付のまま契約し、
契約した当日に施工が開始されているという問題がみられた。
●契約途中で一方的に施工中止あるいは契約破棄
材料代などあらかじめ代金の一部を支払っているにもかかわらず
工事を途中で中止しそのまま連絡が取れなくなったり、
業者都合により一方的に契約を破棄し工事しないと通告するケースも散見された。
消費者へのアドバイス
(1)見積りを複数とって金額と工事内容を確認する
工事を依頼するときは、工事内容の見積りを必ずとり、
見積り内容について分からない点は、業者に必ず確認する。
緊急性が高い工事でない場合は、複数の業者から見積りをとり、
金額や工事の内容について必ず業者に説明を求める。
重要なことは、工事金額だけでなく、工事の施工内容について、
また、工事に用いる材料の種類や数量、単価や工事期間などについても業者に説明を求め、
不明な点があれば、建築士などの専門家にも聞いてみる。
(2)工事内容について業者と話し合ったことは、記録に残す
工事内容について、口頭で依頼する口約束は、
トラブルになった際に「言った、言わない」の応酬になりがちである。
また、契約を結ぶ業者が、近所、知り合い、知人であったりする相談も目立つ。
そういった場合、トラブルがあっても断りにくく、
消費者が悩んでしまうケースも多く見られる。
トラブルを未然に防止するためには、
工事内容についての取り決めなどは書面に記載し、
業者名や連絡先の入った書面の交付を求めること。知り合いの業者であっても同様である。
(3)工事を依頼するにあたっては、必要性についてよく検討する
自身が依頼したい工事内容に加えて、予
定になかった他の工事を業者に勧められることがある。
業者はあたかも必要な工事のように思わせて、
追加して契約させ、結果的に高額な契約になってしまうことがある。
工事の必要性についてはよく検討し、断る場合ははっきりと業者に伝えること。
代金の支払いは急かされても慌てて支払わず、くれぐれも慎重にすること。
(4)訪問販売などの不意打ち性の高い勧誘の場合、その場で契約しない
訪問販売では、業者が契約をその場で急がせる事例も寄せられている。
「今ならこの金額でできる」「キャンペーン価格は今日まで」などと、
消費者に対し有利な契約であるように見せることもあるが、
すぐに契約しない慎重な姿勢が求められる。
(5)トラブルを未然に防ぐために、次の制度を活用する
リフォーム見積チェックサービス
悪質な過剰請求や工事途中の追加請求などを消費者が事前に回避できるようにするため、
住宅の相談窓口として
公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターの「住まいるダイヤル」
(0570-016-100)において、
事業者から提示された見積書について無料で相談に応じている。
次回は①と②のまとめになります。
【 原文 】
国民生活センター 報道発表資料 平成 25 年 3 月 7 日資料より抜粋