屋根の防水工事を施工したが雨漏りが直らない。解約したい。
【 国民生活センターHPより転載 】
≪過去の被害事例をご紹介します。≫
屋根の防水工事をしてもらったが、5年経って結局雨漏りした。そこで施工した事業者に「雨漏りを直してほしい」と伝えたところ、調査に訪れて再度施工し直したが、やはりすぐに雨漏りした。
事業者から工事代金の請求があったが、雨漏りが完全に直ったのを確認してから支払いたいと申し出たところ、事業者はそれでは困ると言う。このような工事でも支払いは発生するのか。
(60歳代 女性 家事従事者)
アドバイス
国民生活センターから事業者に問い合わせたところ、シート防水(※1)の施工は概ね済んでいるが、まだ工事が完了したわけではないとの回答がありました。しかし相談者に聞くと工事は既に終了と伝えられ、工事代金の支払いを請求されたとのことでした。
そこで、当センターの住宅専門相談を委嘱している一級建築士に当該工事の施工資料を見てもらうと、今回施工されたのは事業者が説明したようなシート防水ではなくFRP防水(※2)であり、通常は全面施工しなければ効果がないが、写真で見るかぎり屋上の継ぎ目の目地部分のみに施工されており、FRP防水の施工が仕様通りなのか疑問であるとされました。
再度事業者に確認したところ、施工したのはシート防水ではなくFRP防水であること、また、FRP防水資材メーカーの施工仕様と事業者の施工方法が異なっており防水効果が得られないことも判明しました。
そこで、当センターから事業者に、施工について原因の調査や説明が不十分であること、また施工した内容では効果がないことから当初の目的が達成されないことなどを主張し、結局全面解約となりました。
※1)シート防水
厚さ1.2mm?2.5mm程度のシート状に加工した合成ゴムやプラスチックを用いた防水シートで建物の屋上を覆う工法です。
※2)FRP防水
FRPとはガラス繊維などの強化材で補強したプラスチックのことで、船舶、水槽、バスタブ、波板、自動車、屋根材等として広く使われており、FRP防水はこのFRPの特性を防水に応用したものです。
コメント&解説
家の改修工事を行う際は以下の点に注意しましょう。
- (1)改修工事の際は工事のための調査内容、施工計画書、施工部材の仕様書等を求めて工事内容を把握しておきましょう。
- (2)保証内容などについて確認しましょう。
- (3)施工中の写真を撮っておきましょう。トラブルが発生したときの原因究明に役立ちます。
- (4)住宅は複雑な工程を経て高度な技術により建築されるので、個人で欠陥住宅の防止に取り組むには限界があります。適宜建築士等、専門家に協力を依頼しましょう。
【 原文 】
屋根の防水工事を施工したが雨漏りが直らない。解約したい
http://www.kokusen.go.jp/jirei/data/200707_1.html