住宅リフォーム工事の訪問販売業者に9カ月の業務停止命令
大阪府では、高齢者に対し点検商法で執拗に住宅リフォーム工事などを勧誘していた事業者に対して、2010年3月26日、特定商取引法および大阪府消費者保護条例に基づき、業務の一部を9カ月間停止するよう命じました。
【本件の勧誘行為の特徴】
同社従業員Aは、平成21月1月に府内消費者X(年金生活者)宅を突然訪問し、「水道の点検をしてあげます」と言って、強引に庭の中に入り、庭の水道の蛇口をひねり、点検をはじめた。
その後、従業員Aは消費者Xに「家の中も見てあげます」と言って台所に上がり、水道の蛇口からガラスコップに水を入れ、「濁っているから床下の点検をし なければいけない」と言って、床下に入り、「大変」と言った。消費者Xは濁っているはずがないと思っていたので、不審を感じたことや農協を通じてシロアリ 駆除をしていたこともあり、これ以上のことは断ろうと思って、「シロアリの駆除は済んでいます」と言ったにもかかわらず、従業員Aは「以前の薬は効かな い。このままやったらシロアリが出る。」「家を長持ちさせるため、調湿剤を撒いて、床下補強工事をしたほうがよい」と強引に勧められ仕方なく契約に応じて しまった。
翌日午前9時頃から工事が始まり、昼過ぎに従業員Aが見積書と契約書などを消費者Xに見せて、工事費142万円を請求し た。消費者Xは、あまりにも高額な工事代金のため、「今、手持ちのお金もありません」「工事はやめときます」と断ったが、従業員Aは、車で最寄の銀行につ れていき、消費者Xに、142万円を引き出ださせ、従業員Aの車の中で支払わせた。消費者Xは、銀行から帰ったあと、従業員Aから地震に備えて耐震補強す る必要があるので、追加の床下補強工事をしたほうが家は長持ちすると追加工事450万円を勧められ契約をした。従業員Aは、午後3時頃に、「明日また来ま す」と言って帰った。
翌日、午後5時に工事が終わると、従業員Bが消費者Xに屋根裏も点検してあげると2階にあがり、天井裏を覗いたの で、消費者Xは、「もう点検はいりません」と断ったが、従業員Bは、「大きな地震が来ると大変、屋根裏の耐震工事もしなければいけない。床下だけではだめだ」と言った。消費者Xは、この言葉に不安になり、仕方なく工事費100万円の契約をした。翌日、耐震工事がされた。
数日後消費者Xは、 短期間に次々と高額な契約をしてしまったことを後悔し、確定申告で訪問してきた税理士事務所職員に相談した。同人は書類を見て消費者Xの家族に連絡した。 消費者Xと家族は、消費生活相談窓口で相談し、クーリング・オフの通知を出し、無条件解約となった。なお、消費者Xはクーリング・オフに関して同社従業員 から説明を受けていなかった。