一般社団法人工事金額適正化推進協会[PARCC]リフォーム工事金額の適正化を推進し、リフォーム業界の地位向上,悪徳業者、悪質業者の排除を目指します。

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光熱費が安くなると勧誘する電気温水器の訪問販売業者

【 国民生活センターHPより転載 】

 無料で光熱費節約シミュレーションをすると言って電気温水器の訪問販売を行う業者の事例を紹介する。

 

相談内容

 見知らぬ業者から「光熱費節約シミュレーションを無料でやっている。訪問してもよいか」と電話があり、訪問を了承した。翌日訪ねてきた業者に電気とガス の領収書1年分を見せると、業者は計算書を作り「電気温水器とIHクッキングヒーターを使えば基本料は高くなるが、深夜電力を使うので電気代が安くなる、 ガス代もかからない」と電気温水器の設置をすすめられた。平均月8000円程度光熱費が安くなり、2世帯住宅なので各世帯に設置すると総費用は230万円 になるとのことだった。高額なため断ったが、後日、業者が再訪し、「明日の夕方までに契約すれば30万円安くする」と言った。対応もきちんとしていたので 契約した。

 しかし、工事の段階で、足場やアンカーを打つなどの設置方法に関する説明が営業員から聞いていた説明と違い、施工もずさんなため不審に思った。解約したい。

(60歳代 女性 給与生活者)

結果概要

 相談を受け付けた国民生活センター(以下、当センター)は、訪問販売での契約であり、契約日から8日目の相談であったことから、すぐに個別クレジット業者と販売業者に特定記録郵便で契約解除通知を出すよう助言した。

(1)勧誘時の業者の説明について
 業者が相談者宅を来訪した際作られたシミュレーションの計算書が残っていないため、どのような根拠で平均月8000円安くなるのか分からなかった。 そこで、電気温水器の開発元である電力会社のパンフレットを取り寄せると、ガス・電気併用住宅と比べコストを3割削減できると説明があったため、同社に内容を確認した。

<電力会社の説明>
 パンフレットでは、断熱性能に優れた木造戸建て住宅1平方メートル当たりの空気を暖めるために必要なコストを試算している。給湯に関しては一人当たりの 平均使用量を基に家族4人のケースで計算している。3割削減できる根拠は電気温水器の電力量が従来の3分の1であり、しかも深夜電力を使うために電気代が 安いからである。ただし基本料金が上がるのは事実である。業者の言う8000円の根拠は不明だがまったく事実と異なる説明とは言えない。

 なお、電力会社ではネットワーク店となるためにはメーカーの推薦とオール電化販売の実績があるか、問題が発生していないかを信用調査で確認している。しかし、絶対安心とは言えないので複数店と比較検討してほしいとの回答があった。

 当該業者はネットワーク店ではなかった。

(2)個別クレジット業者による勧誘方法の確認について
 当該契約は改正特定商取引法、改正割賦販売法(以下特商法、割販法)施行以降に契約したもので、個別信用購入あっせんでの契約であった。割販法では、個 別クレジット業者に対し加盟店の勧誘行為に対する調査を義務づけ、不適正な勧誘があった場合の与信を禁止している。具体的には、特商法で規制する取引(通 信販売を除く)にかかわる個別クレジット契約を締結しようとする場合は、消費者に対して、役務・商品の内容等に関する虚偽説明、断定的説明、重要事項・不 利益事実の故意の不告知等の行為がなかったかについて調査をすることになっている。

 そこで、相談者に個別クレジット業者から勧誘方法について調査があったかどうか尋ねたところ、確認の電話はあったが、勧誘方法等については何も聞かれなかったとのことだった。

 消費者への勧誘方法の調査が、実際どのように行われたか、当センターより、個別クレジット業者に問い合わせた。

 業者からは、調査方法については「この契約内容にご不明な点はないですか」と聞いており、本件についても調査を行ったとの回答があった。また、クレジッ ト契約書の綴(つづ)りにも調査内容について記載しているとのことだった。「相談者は勧誘方法について調査されているとは分からないのではないか」と、当 センターは指摘したが、個別クレジット業者は「問題ない、調査記録も残している」との回答だった。

 クーリング・オフ通知後の対応を確認すると「工事は完了しておらず販売業者への立て替え払いはしていない。割賦販売法に基づいて販売業者には契約解除の処理をさせる」と回答があった。

 数日後、相談者に個別クレジット契約解除として処理が完了したとの連絡があった。相談者には足場などの撤去を業者に求められることを伝えたが、自分で処理できるとのことだったため相談を終了した。

問題点

 2008年度の割販法改正は、個品割賦購入あっせんを利用した訪問販売等の消費者被害が多発したことを背景に、クレジット業者に対する規制を強化したも のである。クレジット業者は消費者被害の未然防止のために加盟店の勧誘行為についてチェックし、その方法について調査を行う義務がある。今後、当該クレ ジット業者の対応を注視していく。

【 原文 】

国民生活センターHP -光熱費が安くなると勧誘する電気温水器の訪問販売業者-